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常夏あらすじ

  内大臣の君達が、夕霧を訪問した。源氏は、もてなしついでに、内大臣の外腹の娘近江君の噂の真相を、君達にたしかめた。源氏と内大臣の間には、昔から対抗意識が強かった。殊に、夕霧が内大臣に恥ずかしめられてからは、それが目立ってきた。

 月のない頃、篝火をたいて源氏は和琴を弾き、玉鬘にも教えた。玉鬘が、篝大の光を受けて傾いている姿は、誠に美しい。これを、螢兵部卿宮か鬚黒大将に許そうかとも源氏は思うものの、源氏自身の愛着も深いので、煩悶は絶えない。

 近江君は、邸内の人々にも軽蔑せられる。玉鬘の評判が頗る良いので、内大臣は悪口もする。又、源氏が懇望するならば、「雲井雁を夕霧に許してもよい」と、内大臣は考えるようになったが、源氏からは、一向そんなそぶりを示さない。内大臣の心は、いらいらするばかりである。たまたま雲井雁の部屋に行って、不用意な昼寝を見つけたから、女の身嗜みを説き聞かせ、源氏の皇后教育観にも論及した。

 内大臣は、弘徽殿女御に近江君の事を依頼し、そのついでに近江君が五節君と双六をしているのを、覗き見た。それから対面して応答したが、近江君は軽率な早口でまくし立て、「女御の許には何時参るのか」とも催促する。

 近江君は、姉に当る弘徽殿女御に消息した。その中には、本末の合わない歌が詠まれてある。女御も、殊更に本末の合わない返歌をした。



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