42. あてなるもの
  本文  現代語訳
  あてなるもの 薄色に白襲の汗杉かりのこ。削り氷にあまづら入れて、あたらしき金鋺に入れたる。水晶の数珠。藤の花。梅の花に雪のふりかかりたる。いみじううつくしきちごの、いちごなどくひたる。  上品なもの。薄色に白襲の汗杉。鴈の卵。削り氷に「あまづら」を入れて、新しい金属の椀に入れたもの。水晶の数珠。藤の花。梅の花に雪が降りかかっているのも上品だ。非常にかわいらしい幼児が、イチゴなど食べているのも上品だ。
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
 

2 薄色に白襲の…薄紫色に白襲の汗杉を重ねた。白襲は表裏共白。

3 かりのこ…家鴨・鵞鳥などの卵をいう。

4 あまづら…甘葛。蔓草の一。蔓や葉の汁を煮つめて甘味料としたもの。

5 非常にかわいらしい幼児。