48. をのこは | |
本文 | 現代語訳 |
をのこは、また、隨身こそあめれ。いみじう美々しうてをかしき君たちも、隨身なきはいとしらじらし。辨などは、いとをかしき官に思ひたれど、下襲の裾みじかくて隨身のなきぞいとわろきや。 | 男子は、また、隨身であるに限る。たいそう見栄えが良くて、趣深い君たちも、随身でないというのは、たいそう興ざめだ。弁官などは、たいそう趣き深い官位に思えるけれども、下襲の裾が短くて、随身の官位のないのはたいそう見栄えが良くないものだ。 |
1 隨身…随身は刺廷より賜わる護衛で近衛の舎人などが勤める。上皇・摂政・関白・大臣・大将・納言・参議等に下賜され。それぞれ定員がある。 2 しらじらし…興ざめしたさま。但し能因本・堺本に「いとさうさし」、前田本に「いとさうざうしあるはいとはえばえしくおかし」とある。 3 辨…弁官。太政官に属す。 4 下襲…束帯で半臂(はんぴ)の下に着る衣を下襲という。後方にキョまたはシリと称する裾を袍の下に長く引く。その長さは官位により定めがあり、弁官は劇職のためにみじかい。 |
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