帚木(ははきき)あらすじ
源氏の性格は真面目であった。稀には、思いこむと無理な恋にも熱中した。その源氏を中心とした婦人諭が、雨夜の品定めである。場所は源氏の曹司桐壺で、理想論から出発し、各自の体験談となった。集ったのは、頭中将と左馬頭と藤式部丞とである。
頭中将は、婦人の三階級と中級支持説を、源氏と語りあっていた。そこへ左馬頭と藤式部丞とが参加し、大工や書画の例までも出て談論は急に活発となった。
左馬頭の理論……妻として完全な女はない。家政は国政よりも困難だ。妻選びに骨折るのは、好色の故のみではないが、何よりも、真実な心の女が望ましい。
左馬頭の体験一……嫉妬深い女。その女が左馬頭の指に食いついた。腹が立って顧みなかった間に死んだ。嫉妬さえなかったら、有能な女であったのに、惜しく思っている。
左馬頭の体験二……浮気な女。ほかに男があった。それを見つけたので絶縁した。
頭中将の体験……親もなく、自分を頼りにしていた女が、途絶えがちの間に行方不明となった。女児がいたので、今も忘れられず、思い出すと悲しい。(後の夕顔である)
藤式部丞の体験……ある博士の女に言い寄った。女は賢女ぶって色々と教えてくれたので、頭が上らない。たまたま、女が風薬のにんにくを食って臭かった時、逃げ帰った。
左馬頭の結論……その時々に、必要な良識や判断があり、出しゃばらず謙遜しているのがよい。
翌日源氏は方違えで、伊予介の家に行った。その子の紀伊守に、伊予介の後妻空蝉の
ことを聞き、垣間見た。
夜ふけに、源氏は空蝉の室に忍び入った。その後、源氏は空蝉の弟小君を近侍として、空蝉に消息した。
源氏は再び中河の家に行ったが、空蝉は源氏を避けて逢わなかった。