72. 夜烏どものゐて | |
本文 | 現代語訳 |
夜烏どものゐて、夜中ばかりにいねさわぐ。落ちまどひ、木づたひて、寝起きたる聲に鳴きたるこそ、晝の目にたがひてをかしけれ。 | 夜、カラスどもがいて、夜中に寝ながらさわぐのは情趣がある。落ちては迷い、木をつたって、寝起きする声で鳴くことこそ、昼見た感じとはちがっておもしろい。 |
2 夜烏…三巻本以外の諸本にはこの前に「ときはぎども多かる所に」(能因本「ども」なし)の一句がある。現存の三巻本の脱文と見るべきか。三巻本の抜書本にもこの句がある。 4 寝起きたる聲…三巻本以外の諸本「ねおびれたる声に」。 |
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