夕顔あらすじ

　源氏は、「わらわ病」を、北山の聖僧のもとに行って加持した。源氏は、加持の暇々に散歩して景色を眺め、諸国の名勝や、明石入道の娘の話など、色々と、供人たちが語るのを聞いた。

　源氏は、ある僧房に子供らしい若紫を見出し、その祖母の尼上にも逢った。尼上の兄の僧都が、源氏の御機嫌奉伺に来た。源氏は僧都の坊にも一泊して、若紫の素姓を初めて知った。

　源氏は、尼上に「若紫を引き受けて世話したい」と申込んだ。尼上は、「まだ幼少だから」とて辞退した。「わらわ病」が全快したので、源氏は帰京した。

　帰京した源氏は、葵上の態度に全くあき足らない。源氏の心は葵上を離れて、ひたすら若紫に向う。源氏は北山の尼上に熱心に音信する。

　その頃、藤壺は里に下っていた。源氏は嬉しい密会をした。藤壺は人知れず妊娠の身となり、源氏はおどろおどろしい夢を見た。

　北山の尼上は帰京した。源氏は尼上を見舞い、とうとう若紫を託される事となった。尼上はやがて他界した。源氏は若紫の邸に一泊した事もある。

　若紫の父兵部卿宮が、若紫を訪ねた。惟光も、源氏の命によって若紫邸に宿直もした。

　若紫は父宮の邸に迎えられる事となった。源氏はそれを仄聞して、若紫を急に二条院に移してしまった。若紫は当惑したが、次第に源氏に親しんで来た。父宮は、娘の行方不明で落胆した。この若紫が後の紫上である。