須磨あらすじ

　　退京の決意をしたが、紫上への愛着は深い。紫上は悲嘆に暮れるが同伴はできない。花散里からも藤壺入道宮からも、消息があった。

　左大臣邸へ暇乞に行った。左大臣は驚き悲しんだ。夕霧のあどけなさも、一層、悲しみを増させる。源氏は左大臣邸に一泊し、夕霧の侍女の中納言とも語らった。

　左大臣邸へ暇乞に行った事を、紫上に語った。紫上の父兵部卿宮は、世間を憚って源氏に冷淡である。退京後の事を源氏は処置した。花散里にも別れを告げた。

　桐壺御陵参拝の途次、藤壺入道宮にも暇乞をし、春宮にも消息で暇乞して出立した。

　須磨は他国の気がする。都からの消息が何よりも力になる。源氏も、紫上その他の婦人に消息した。朱雀帝も、今は源氏の事で内心悩んでおられる。

　紫上は源氏を恋い悲しんだ。それに同情して侍女の少納言は、北山の僧都に祈祷を頼んだ。藤壺入道も朧月夜も源氏を忘れかねている。

　源氏は六条御息所とも文通をした。生霊の一件もあったが、御息所の使者から、御息所の動静を詳しく聞いた。源氏は又、家令に花散里の邸の手入をさせた。

　朱雀帝は、朧月夜の本心が源氏に傾いているかと疑っておられる。

　心尽くしの秋風と、仲秋の名月の頃、都を思い出して傷心した。

　源氏が、都を思う折に、太宰大弐とその娘五節とが、消息し、宰相も訪問した。

　三月一日、開運の祓を始めた途端、風雨・雷鳴・津波と、意外な天変が起った。