明石あらすじ
紫上の使者が須磨を訪ね、荒天に驚き恐れた。源氏の住居に落雷して火災を起した。
源氏は、夢想で故桐壺院から「須磨を去れ」との訓戒を蒙った。その暁に、偶然、明石入道が舟でお迎えに来た。不思議な順風で明石に着き、入道邸に住む事になった。
入道は「娘の運が開ける」と喜びながらも、娘の事を源氏に言い出しかねた。
初夏の夕月夜に、入道は源氏の前で、相伝の琵琶を弾いた。源氏も広陵散と言う秘曲を弾いた。髭琶の話を機会に、入道は娘を源氏に奉る事を、やっと約束した。
源氏は娘と文通を始める事となった。娘は身の程を憚って、消極的である。この娘を、良清がかつて「意中の女である」と言ったから、源氏は最初は躊躇した。
三月十三日、雷鳴風雨の夜に、「故桐壺院から睨まれた」と、朱雀帝は夢を御覧なされた。それから、朱雀帝は目を病み、又太政大臣は薨じ、弘徽殿大后は患った。それらで朱雀帝は「源氏を召還したい」と思し召したが、弘微殿大后は不服であった。
源氏は娘に逢ったが、紫上を憚って疎遠勝ちである。娘は、哀愁・落胆・煩悶する。
朱雀院は弘徽殿太后に反対して、源氏召還の宣旨を下された。入道一家は悲喜した。
源氏は娘に琴を残し、別れを惜しんで上洛した。娘は身の程を悲嘆し、入道は喪心し、娘の母北の方は入道を非難した。
源氏は上洛して、八月十五日に参内した。位階も昇進し、人々も喜んだ。