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薄雲あらすじ

  明石上は、考える所があって、二条院に移らない。姫君だけが、十二月に二条院に迎えられ、紫上の養女となった。姫君の袴着の式は、盛大に行われた。明石上は、大井邸に残って、姫君を手離した後悔もした。源氏は、口実を設けて、大井を訪ねた。

 翌年の春、葵上の父太政大臣は薨じた。藤壺入道宮も、三月から重く病み、源氏に感謝の心を抱きつつ、消え入られた。源氏の悲嘆は深刻である。

 藤壺入道宮の四十九日も過ぎた頃、昔から帝に仕えて居た夜居の老僧が、「帝の実父は源氏の君である」との秘密を、告白申しあげた。冷泉帝の心は動いて、源氏に御譲位の腹もおありであったが、源氏は受けなかった。その頃、式部卿宮も他界せられた。

 梅壺女御は、源氏の二条院に里帰りした。源氏はこの女御の親代りとなって居るので、女御に対するあだ心を、自省して、春秋の優劣を女御に問うた。女御は、母六条御息所他界の時節を思い出して、「秋を好む」と言った。

 源氏は、「紫上が満足する程の遊びをしたいが、思うにまかせぬ」など紫上に話した。同時に、明石上の事も気にかかるので、口実を設けて、又、大井の邸を訪ねた。



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