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松風あらすじ

  花散里は、東院の西の対に移った。明石上を東の対に移す様に、源氏は計画した。けれども、都のやん事ない人々と交るのを嫌って、明石上は上洛を渋った。

 明石入道は、尼君の祖父なる中務親王の大井河畔の旧邸修理を、預りの男に頼んだ。

 旧邸の修理が終り、明石上一行は上洛した。明石浦に一人残る入道は、殊に姫君をなつかしんだり、一生を顧りみて、不運に泣いた。尼君も泣いて入道と別れた。大井の旧邸は、明石浦に似た所もあって、明石上一行には、揚所が変った様な気もしない。

 紫上を憚って、源氏は大井訪問が、容易に出来ない。明石上は悲しむ。遂に、桂の院や、嵯峨の御堂の用事を口実にして、源氏はやっと大井行きを実現した。源氏は、明石上にも尼君にも、色々話したり話されたりした。桂の院に遊宴もして、予定以上に日が経過してしまった。

 勅使が、源氏を迎えに来た。これ以上に、帰京延期は出来ない。源氏は急いで帰った。紫上は物も言わずに嫉妬する。源氏は、明石上など、眼中に無い様な態度を示すが、内心はその態度と全く反対である。源氏は、愛嬌をたたえて紫上のそばに寄り、恐る恐る明石姫君の事を打ち明けた。姫君を、紫上の養女にしたいと言う腹である。性質のよい、子供ずきな紫上は、案外喜んだが、「明石上はどう言うであろうか」と、そこに源氏の悩みがあった。



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