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幻あらすじ

 源氏は、悲嘆の中にも、明け暮れ、二条院に念誦している。直ぐにも出家したいが、「紫上の死に促された出家である」と噂せられたくないと思っていた。中納言君や中将君など、女房達が、源氏の心を慰めてくれる。

 紫上の私邸であった二条院は、晩春の花が美しい。紫上遺愛の樺桜も満開である。匂宮は、紫上遺言の桜の周囲に、几帳を立てようなどと、無邪気な事を言う。源氏は、その後六条院に移った。夕方、源氏は明石上を訪ねて、夜更けまで語ったが、泊らずに帰った。紫上が、女三宮降嫁の時に心痛した由を、源氏は女房から始めて聞いた。

 花散里は、四月一日、衣更えの装束を、源氏に届け、かたがた慰問の歌を添えてやった。五月の十日過ぎ、ある雨の夜、夕霧が源氏を訪れた。「紫上書写の経文も沢山あるから、一周忌には曼陀羅供養を行うように」と、源氏は話した。

 一周忌の命日には、曼陀羅供養があった。その後、九月、十月、十一月と、それぞれの事柄があって過ぎ、いよいよ年末になった。源氏は色々の消息文の整理を果たし、御仏名にも、匂宮の追儺の騒ぎにも、「これが今生の最後」と観念しているのであった。



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