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匂兵部卿あらすじ

  源氏の歿後、源氏に代るような勝れた者は、匂宮と薫の外にはない。匂宮は、兵部卿に任官して、紫上の旧邸二条院に住んだ。花散里も、二条院の東院に住んでいる。六条院には、明石上と、明石中宮の二宮、および女一宮が住み、明石中宮の里帰りも稀にあった。夕霧は、六条院の東北の一区劃に落葉宮を移して、三条邸の雲井雁と、落葉宮とに、十五日ずつ、几帳面に通った。大君は春宮に、中君は今上の二宮に、それぞれ定ったから、三君を匂宮にと、窃に考えたが、匂宮は無関心である。

 薫は、三条宮の入道(女三)宮の許に成長した。冷泉院は女三宮に同情して、薫の父代りとなり、秋好中宮は、皇子がなくて、薫を頼りにした。薫は、自分の出生が不審で、美と才とに対する世評心嬉しくない。出家したい気持だけがあった。匂宮は、薫の体臭に対抗して、優秀な香を、衣に焚きしめつつ、浮気心のままに活躍した。

 匂宮は、冷泉院の女一宮に気があった。この女一宮は、致仕太政大臣の娘なる弘徽殿女御腹で、身分も高い。夕霧は、多数の子女中の誰かを、薫か匂宮かに縁づけたいのである。考慮の末、藤典侍腹の六君を縁づけようと思っていた。その下心があったので、正月十八日の賭弓の還饗の際、匂宮と薫とを、六条院に伴って行った。



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