80. 心地よげなるもの
本文 |
現代語訳 |
語彙 |
心地よげなるもの 卯杖(うづゑ)のことぶき。御紳楽の人長。神楽の振幡とかも持たる者。御霊會の馬の長。池の蓮(はちす)、村雨にあひたる。傀儡のこととり。 |
気持ち良いものはと言えば、正月祝いに帰ってくる返歌。神楽の長。神楽の旗を振る人。祇園の御霊会の馬の長。池の蓮(はす)が、にわか雨にあっていること。遊芸人の長 |
むらさめ【村雨】【叢雨】…【名詞】断続的に激しく降って過ぎる雨。にわか雨。驟雨(しゆうう)。 |
卯杖…卯杖は正月初の卯の日に柊(ひいらぎ)・桃・梅・木瓜(ぼけ)その他の木を五尺三寸に切り、一束ないし二、三束に結び諸衛府より禁中に奉るもの。「ことぶき」はその際の寿詞(祝賀の意を述べる朗読文)か。能因本等に「ほうし」とあり、通説に法師の意とする。
2 人長…神楽を奏する人々の指揮者を人長と称する。一曲終る毎に起って舞う。神楽は神前の歌舞。
4 御霊會の馬の長…六月十四日祇園の御霊会に宮中より馬を遣され、その長は腰に造花などつけて花やぐ。この条項以下は陽明本系にはない。