総角あらすじ
八宮の一周忌は、薫と阿闍梨とが中心になって行った。薫は、弁御許とも相談して、大君と物越しに面談し、意中を訴えた。大君は、故父八宮の遺言によって、独身の決心である。夜明けに、二人は和歌を贈答して別れた。
大君は、妹中君を薫にと考えた。一周忌が終った後に、薫はまた宇治を訪れた。弁御許からも、大君の素志を聞き、物越しの面談では駄目と考え、姫君達の室に忍び入った。大君は屏風の後に隠れ、中君だけがいた。薫はそこに一夜を過した。
中君が大君の身代りになったのに懲りたので、薫は、彼岸の終りの日に、匂宮を宇治に伴って、中君の室に導き入れた。また弁御許を介して大君に消息を伝えた。大君は、事が志と違ったけれども、もう取返しがつかない。
昨夜の事は、全く、夢のように姫君達は考えている。匂宮は、三日の夜の餅の時まで、真面目に通ったが、冷泉院や明石中宮の諫止が厳しくて、その後は心のままにならない。匂宮の疎隔に、中君は悲嘆に暮れる。薫は、気長に大君の心の緩むのを待った。
十月、宇治川の舟遊びや紅葉狩を催して、匂宮は中君を訪ねようと企てた。薫を同道したのに、夕霧の君達が迎えに来て、その計画は失敗した。姫君達は、失望落胆した。匂宮の宇治通いを止めるために、夕霧の六君の婚縁の事が決定した。
匂宮の、姫君達を眼中に置かぬ態度と、六君の噂とで、大君は極度に悲観して重態となった。薫は祈祷や加持に全力を尽して看護したが、大君は他界した。